2011年2月15日火曜日

書評-『ストーリーとしての競争戦略』

楠木建 「ストーリーとしての競争戦略」東洋経済社、2010年、 定価2800円+消費税  


これは名著です。ただし、読み切るにはかなりの根気が要ります。私も久しぶりに根をつめて読んだ本です。おかげでブログ更新が滞ったほどです。

ただし、この本を読むのはよほど経営学に関心が深い人でないと、意味がないかもしれません。
有る程度の基礎知識がないと何を言っているのかさえわからないおそれがあります。

しかし、一橋大には沼上幹教授という名うての経営学者もいますし、この本を読んで現在の一橋のマネジメント論のレベルの高さを実感した次第です。

まず、端的に言って本書はドラッカー経営とよくマッチする構造を持っています。

そのうえ、ドラッカー理論の不備を補う視点を多数持っています。

この本については、なるべくじっくりと検討を行いたいと思います。


まず戦略論としての基本的な構造だけ説明します。

楠木氏は、ポーターの競争戦略論と、ミンツバーグの創発的戦略論、そしてハメル&プラハラードのコア・コンピタンス論をうまくミックスしています。この視点には沼上氏と似たバックボーンの存在を感じさせます。

特に楠木氏のこの3つをミックスさせる視点は、私もドラッカー経営を理論化するうえでこの3つの視点と考えていたので意を強くした次第です。



(浅沼宏和)