2011年5月25日水曜日

大災害と日常的取り組み

私たちは、普通なら100年の間に経験するような「歴史」をわずか10年間で経験してしまった。
しかも、そのなかに「平和」はほとんど含まれていない。
だが、世界の大半は、特に先進工業国はその苦難を乗り越え、壊滅的な打撃から何度も立ち直ってきた。

しかも、そのたびに経済的、社会的、さらには政治的な方向性や推進力まで取り戻してきた。
なぜ、そのようなことが成し遂げられたのだろう。
それは普通の人々、企業や組織の問題に日々取り組んでいる普通の人々が、世界が崩れ落ちる間にも責任を果たし続け、明日に向かって働き続けてきたからだ。


これはドラッカーの言葉です。(『マネジメント・フロンティア』より)



私がドラッカーの入門書の目次を考え始めた直後ぐらいに東日本大震災が起きました。

桁の違った被害をニュースで見るたびに、マネジメントの日常的な取り組みの心構えを書いている自分にずいぶんギャップを感じていました。

「はたしてこんな地味なことに意味があるのだろうか?」といった感じです。

しかし、ドラッカーのこの言葉を見つけ、地道な取り組みこそ意味があるという確信を持つことができました。

上記の言葉は20世紀が終わろうとしている時期に書かれたものですが、まるで先月か今月にでも書かれたような気になってしまいます。

これがドラッカーの思想の生命力なのだとしみじみ思いました。


(浅沼 宏和)