2012年2月25日土曜日

閑話休題-マネジメント手法としての5S

来月の『工場管理』に当社の5Sの取り組みについての記事がのります。

数年前から提唱している「2S直角平行」のコンセプトについての解説をしたのですが、最後のまとめでマネジメントと5Sについてまとめてみました。

最初の原稿の分量が足りなかったので急遽付け足したものなのですが、まとめてみると改めて5Sは重要であると思いました。



5、マネジメント手法としての5S

 当社ではマネジメントを「成果をあげるために行動する方法論」と定義している。成果とは外部に価値を創造することであり、行動するとは意識的に活動していくことである。そして、仕事とは成果に向かうプロセスである。成果へのプロセスからの逸脱を発見することが管理の本質である。

 管理が意味をなすためには基準・原則・プロセス・計画などのようにはっきりとした形を作る必要がある。5Sとは管理が意味をなすような環境の形を作り出すことであるように思われる。整備された環境は例外の発見を容易にする。そこにこそ5S活動の本質があると考えている。

 5S活動は逸脱の発見を視覚的に容易にする手段である。P.F.ドラッカーは「よい工場は退屈である。予想外のことは何も起きない。」と述べているが、それはプロセスがきっちりと作りこまれ、管理レベルが高い水準にあることを意味している。

 こうした点から5Sは企業目的そのものではなく、あくまでも目的実現のための手段というべきものである。しかし日常業務と密接な関係を持ち、管理の実効性を確保するためには不可欠な活動なのである。

ドラッカーはよい管理手法の条件として、①効率性 ②意味性 ③適切性 ④精密性 ⑤適時性 ⑥単純性 ⑦実用性 の7つを上げている。これは要するに最小の手間で最大の成果を目指すという視点であり、5S活動もそのようなものとして捉えるべきである。当社の提唱する「2S直角平行」はこうした視点に合致する取り組みであると考えている。

Sは形骸化しやすい活動である。だからこそ5Sの本質を見据えつつ経営効果に常に目を光らせる姿勢が必要になる。5Sを成果にいたるプロセスからの逸脱を防止する実践的なマネジメント手法として位置づけて今後も積極的に取り組んでいきたい。



(浅沼 宏和)