2012年3月4日日曜日

閑話休題-ドラッカーとポーターは似ている?


マイケル・ポーター
ここ一年でドラッカーとポーターの入門書を書きました。

このようなビッグネームを短期間に扱う機会はそうそうないと思いますが、おかげで両者の考え方をじっくりと比べる時間を持つことが出来ました。

結論としては、ドラッカーとポーターの戦略論は似ている と思うようになりました。

経営戦略論にはいろいろなタイプのものがあります。

分類法もいろいろですが、例えば次のような分類法があります。
ピーター・ドラッカー

1、戦略計画学派:目標達成に向けてヒト・モノ・カネの整合性を取っていく
2、創発戦略学派:戦略はトップダウンで決めるのではなくミドル以下の現場での試行錯誤の結果がボトムアップされて決まる
3、ポジショニング学派:有利な戦略的ポジションを追求する
4、リソースベースドビュー:経営資源の強みを生かしていく戦略
5、ゲーム論的戦略論:ライバルや取引先の行動を読み取りシナリオを作って対処する

もちろん、ポーターはポジショニング学派の代表格とみなされているのです。

しかし、実際には程度の差こそあれ、どの戦略論もこれらの要素が全て詰まっているものです。

その中で特に強い傾向の部分が目立つというのが実態であると思います。

マイケル・ポーターの戦略論の骨格はドラッカーの「創造する経営者」に書かれている内容と殆ど変わりません。

ドラッカー自身もそのように感じていたようで、1985年の「イノベーションと企業家精神」の中で、ポーターの競争戦略論は自分の考えにヒントを得て、発展させたものであるとはっきりと書いています。

実際に、ポーターの理論は1980年の「競争の戦略」では、ガチガチの理論でしたが、その後、年をへるに従って柔軟性を高めて行きました。

イノベーションという言葉もよく出てくるようになりました。

「イノベーションには10年かかる」というドラッカーと同じ表現のところも多数見受けられるようです。


フィリップ・コトラー
そこで、私は総合理論としてドラッカーを採用し、経営戦略の各論を考える上でマイケル・ポーターを使うということが有益であると考えるようになりました。

さらに、そこにマーケティングのフィリップ・コトラーを合わせれば経営戦略を考える上で必要な要素をほとんど網羅することが出来ると思います。


(浅沼 宏和)