2012年4月9日月曜日

◇日本経済は再生する?―野口悠紀男氏の提言

週刊ダイヤモンドに野口悠紀男氏の提言が掲載されていました。要約しておきます。


・日本経済の問題は世界経済の大きな変化に産業構造が対応していないこと。
・変化とは特に中国経済の工業化。かつての日本経済のモデルを中国がやっている。
・同じ分野で競合しても中国に勝てない。生産性の高いサービス産業を見出す必要がある。

・英国、米国は製造業比率が低下し、新産業が登場した。
・1990年代の大きな変化のうねりに日本は乗り遅れた。
・2000年頃には「このままではいけない」という危機感があったが、その後の景気で問題意識が後退した。

・09年の世界経済危機で問題が一気に表面化した。円高、タイの洪水、大震災などが言われるが基本はビジネスモデルの失敗にある。
・日本はデフレではない。大量生産品だけが価格崩壊しているだけ。
・日本の製造業はもはや「農業化」している。つまり補助金依存体質。

・個々の企業のレベルで従来のビジネスモデルからの脱却を図ることが必要。
・特に輸出立国モデルからの転換が必須。

・ポイント1: 政府は古いものを助けようとしないこと
・ポイント2: 規制緩和を進め、活力を使うこと

・新しい産業・企業が生まれる余地は残っている。ただし、時間が無いので人材は外国人の活用を行う。
・日本人の雇用は奪われない。パイの大きさが一定ならそうだが、人材開国で経済のパイが大きくなる。
・特に中小企業では海外の知的労働者活用の意味が大きい。英語が出来る人材を中国人などに求める。

・ただし、これらの施策にはタイムリミットがある。中国人の人件費が上がったらもうだめ。

・製造業は新興国に売るのではなく、先進国に売ったほうが良い。ソニー、パナソニックのブランドははまだ強い。
・日本の電機メーカーは液晶パネルの国内工場で大失敗した。そもそも「つくる」部分を国内でやっているからダメ。
・ただし、開発・設計・ブランドの面で強いことが必要。
・雇用の問題は明らかにある。新しいサービス産業の想像は不可欠。これが最終的な答え。


意識的に未来を開拓していかないとどうにもならないということですね。

明治の頃のようなビジョンとリーダーシップが必要ということでしょうか。

(浅沼 宏和)