仕事でトラブルがあり、日常業務におけるリスクつぶしを改めてする必要を感じました。
そこで、ふと徳川家康のエピソードに思い至りました。
うろ覚えなので恐縮ですが、書いてみます。
家康が秀吉に従ったあとのとある戦場での話です(おそらく北條征伐)。
山道に危険な橋がかかっており、そこで多くの大名たちが立ち往生したそうです。
家康が通りかかるときに他の大名たちはこう思ったのだそうです。
「天下一の馬術の名人と言われる家康殿はどのようにこの難所を乗り越えるだろうか?」
家康がそこに差し掛かると、おもむろに馬から降り、屈強な武士に背負ってもらって橋を超えたそうです。
それを見た名将たちは「さすがは家康殿。天下一の馬の名人に違いなし。」といったということです。
このエピソードは、無用のリスクは負わない。徹底して安全策を取るのが「名人」「名将」の条件であるということです。
塚原卜伝の後継者選びにも似たような話があります。
病床の卜伝は後継者候補の3人の息子がひとりずつ呼びました。
部屋の入口の上には枕が仕掛けられており、戸を開くと上から落ちてくるようにしていたそうです。
最初の息子が入ると突然上から枕が落ちてくるので、身軽にひらりとかわしました。
二番目の息子はとっさに脇差を抜いて枕を空中で真っ二つに切りました。
三番目の息子は入る前に枕の仕掛けを見抜き、そろそろと戸を開き枕を外して部屋に入りました。
後継者はこの三番目に決まり、二番目の息子は厳しく叱られたそうです。
リスクというものの考え方は昔も今も変わらないようです。
(浅沼 宏和)